ポストコロナとなる2021年(令和3年)は、補助金が豊富です。「補助金には、いろいろな種類がありシステム開発やアプリ開発に使える補助金が分からない…」と悩んでいませんか。
今回は、ポストコロナの2021年(令和3年)こそは補助金を活用したいとお考えの方へ、システム開発やアプリ開発に使える補助金情報を解説していきます。
- システム開発やアプリ開発に補助金は使える?
- 2021年(令和3年)のシステム開発・アプリ開発に適した補助金内容を知りたい
- システム開発やアプリ開発に補助金を使うために、まずは、何から始めれば良いの?
補助金を活用してシステム開発やアプリ開発ができるよう、2021年(令和3年)の補助金情報を把握し、考え方を整理していきましょう!
目次
1.システム開発・アプリ開発の費用と補助金の活用
システム開発とひとことにいっても、目的や用途・形態により種類はさまざまです。WEBシステムや業務システム、制御システムやスマホアプリ開発等があります。
その開発するシステムの種類によって、もちろん価格帯も異なってきます。システム開発に係る費用の相場をみてみると、50万円から1,000万円を越えるものまで、非常に幅広いです。
そのシステム開発やアプリ開発に補助金を活用できれば、一部の費用を負担することで、効率的にシステム投資ができます。では、どんな補助金が使えるのか、2021年(令和3年)経済産業省の補助金を整理し、それぞれ解説していきます。
2.システム開発・アプリ開発というと「IT導入補助金」が思い浮かぶが…
システムというと、真っ先に思い浮かぶのが「IT導入補助金」でしょう。では、IT導入補助金は、システム開発やアプリ開発に適しているでしょうか。
結論から言うと、システム導入・整備には適していますが、自社仕様のカスタマイズしたシステム開発には該当しません。システム開発やアプリ開発は、IT導入補助金の要件に合わないからです。
|IT導入補助金はITツールの導入が要件
IT導入補助金は、ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。対象となるITツールは、IT導入支援事業者として登録され、かつ登録されたITツールのみが対象となります。
ですから、汎用的に販売されているITツールの導入による、システム整備で済むのであれば良いのですが、自社用にカスタマイズしたシステム開発には使えません。
補助上限額
- A類型30万円~150万円未満(補助率1/2)
- B類型150~450万円以下(補助率1/2)
- C-1類型30万円~300万円未満(補助率2/3)
- C-2類型300万円~450万円以下(補助率2/3)
- D類型30万円~150万円以下(補助率2/3)
○IT導入補助金が使えない経費
- 一般市場に販売されていないもの。特定の顧客向けに限定されたもの。
- 製品が完成されておらず、スクラッチ開発が伴うソフトウェア。過去に特定顧客向けに開発したコード(開発実績)を他の顧客に再利用し、その顧客の要件に合わせ追加スクラッチ開発を伴うもの。(ECサイト制作を除く)
- 大幅なカスタマイズが必要となるもの。
- 組込み系ソフトウェア。(特定のハード機器を動作させることに特化した専用システム。例:タッチペンに組み込まれたシステム、印刷機に搭載された制御システム)
まずは、IT導入補助金の補助対象となっているITツールを確認し、自社に適したITツールが登録されているか確認しましょう。
3.システム開発・アプリ開発には「ものづくり補助金」が最適
では、システム開発やアプリ開発に適している補助金は何でしょうか。最も適した補助金は、「ものづくり補助金」でしょう。
|ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、主に設備投資やシステム開発に使える補助金です。「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等に支給されます。
まず、「一般型」と「グローバル展開型」の分類があります。一般型はさらに「通常枠」と新特別枠である「低感染リスク型ビジネス枠」に分かれます。
補助上限額
- 一般型通常枠1,000万円(補助率1/2)
- 低感染リスク型ビジネス枠・小規模事業者1,000万円(補助率2/3)
低感染リスク型ビジネス枠では、補助率が拡充されていることに加え、広告宣伝・販売促進費も補助対象になります。また、小規模事業者も補助率が2/3に上がります。
小規模事業者とは、常勤従業員数が、製造業その他業種・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社又は個人事業主を言います。NPO法人は、従業員が20人以下の場合、補助率が2/3になります。
|ものづくり補助金の補助対象事業
では、ものづくり補助金は、どんなことに活用できるのでしょうか。新たな生産管理システムの導入や、新商品(試作品)の開発等に使えます。低感染リスク型ビジネス枠では、物理的な対人接触を減らす製品やサービス等、ポストコロナに対応するビジネスモデルとなります。
たとえば、AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作や自動制御機能を有する製品開発・導入、オンラインビジネスへの転換等です。
その他、ロボットシステムの導入、複数店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築等も挙げられます。
|システム開発・アプリ開発には「ものづくり補助金」が最適な理由
○ものづくり補助金は2021年補助内容が拡充されている
ものづくり補助金は上限額が1,000万円まで補助されます。上記で紹介したように、2021年(令和3年)はコロナに対応した、ビジネスの転換のための補助金が拡充されています。低感染リスク型ビジネス枠や小規模事業者枠があてはまれば補助率が2/3に上がり有利です。
○ものづくり補助金の過去採択実績にシステム開発が多数含まれている
ものづくり補助金の過去の採択実績は、ものづくり補助事業公式HPで検索することができます。採択実績も多く、システム開発に使える補助金であることは確かです。
過去の採択事例
- 情報サービス業:駐車場利用者の駐車位置を自動特定するシステムの開発と実証
- 情報サービス業:IoT向け新規セキュリティ技術を搭載した 大容量データ暗号化認識システム
- サービス業:コンシューマー向け「多言語遠隔通訳サービス」の開発
4.事業の転換を目的としたシステム開発・アプリ開発は「事業再構築補助金」を!
今やっている事業や業種を変えたり、新たな事業に参入するときに使えるのが、事業再構築補助金です。2021年から始まった新たな補助金です。
建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費、リース費といった主要経費から、外注費、販売促進費等の関連経費まで、幅広い対象となっております。
|事業再構築補助金とは
要件となる「事業再構築」とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」、「事業再編」の5つを指します。これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を策定することが必要です。
たとえば、既存事業をオンラインビジネスに転換したり、人との接触を避けるビジネスに転換すること等が要件となります。
補助額
- 通常枠100万円~6,000万円 (補助率2/3)
事業の転換に合わせてシステム開発やアプリ開発を行いたいときは思いきったシステム投資がこの補助金で可能となります。
5.少額なシステム開発やアプリ開発であれば「小規模事業者持続化補助金」も視野に
その他の補助金として、小規模事業者持続化補助金があります。2021年(令和3年)は、ものづくり補助金同様、ポストコロナを見据えた「低感染リスク型ビジネス枠」が設定されています。
補助上限額
- 通常枠:補助上限50万円(補助率2/3)
- 低感染リスク型ビジネス枠:補助上限100万円(補助率3/4)
|小規模事業者持続化補助金の対象事業
機械装置等費や開発費、外注費から広告宣伝費まで幅広い事業が対象になります。低感染リスク型ビジネス枠では、オンライン化の為のツール・システムの導入、ECサイト構築費などが対象です。
|小規模事業者持続化補助金「低感染リスク型ビジネス枠」とは
低感染リスク型ビジネス枠は、新型コロナウイルス感染症感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行い、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
|小規模事業者持続化補助金の対象事業者
○小規模事業者(個人事業主含む)等であること
小規模事業者であるかの定義は、小規模事業者支援法に基づき、業種ごとに従業員数で判断されます。
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数:5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数:20人以下 |
製造業その他 常時使用する従業員の数 | 常時使用する従業員の数:20人以下 |
ものづくり補助金と比べると、補助額が少なくなったり、対象事業者の範囲が絞られますが、比較的少額で済むシステム開発やアプリ開発等であれば、補助率3/4から考えるとメリットと言えます。
6.システム開発・アプリ開発で補助金が採択されるポイント
ここまで、システム開発やアプリ開発に使える補助金をご紹介してきました。では、実際に採択されるためには、どのような工夫が必要か、ポイントをお伝えします。
それは、自社に蓄積されたノウハウを活用し、システムの重要な要素に組み込むことです。システム開発・アプリ開発は、実際には外注作業が大部分を占めてくると思います。そうなると、システム開発行為自体には、自社のビジネス転換のための、革新的な取り組みと見られにくくなります。
ですから、これまで培った自社の情報やデータ等のノウハウを、システムに取り入れ、自社や顧客にとって、創意工夫されたシステムとすることが重要となるでしょう。
補助金を活用するために、まずは、自社の取り組むシステム開発・アプリ開発がどのくらいの規模になるのか、具体的に把握してみてください!
7.まとめ
システム開発やアプリ開発に使える補助金として、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金をご紹介してきました。
2021年(令和3年)の補助金は、補助額や補助率が拡充されており、システム開発やアプリ開発に投資するチャンスです!ぜひ、思い描いている計画のために、補助金を有効活用してください。