「NPO法人を設立…」申請が大変そうで、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。複雑そうな申請だからこそ、さまざまな誤解や憶測があるのも事実です。
今回は、NPO法人の設立の流れや手順を説明していきます。
- NPO法人の設立にはどのくらいかかる?
- NPO法人を設立したいけど何から始めれば良いのかわからない。
- そもそも、自分たちはNPO法人を設立できるの?
これからNPO法人を設立される方はもちろん、その他の法人と迷われている方にも、NPO法人の特性を理解し、NPO法人の設立手順をチェックしていきましょう!
目次
1.NPO法人設立の準備から申請までの手順
NPO法人を設立するためには、所轄庁から設立の認証を受ける必要があります。その為、さまざまな設立要件を満たすことが必要です。
それでは、設立の準備から申請が受理されるまでの流れを把握しましょう。
- NPO法人の目的や人員の決定-設立要件の確認
- (事前相談・設立総会)
- NPO法人の設立申請-設立認証申請書類の作成・提出
- 設立認証申請の受理
2.NPO法人の目的や人員の決定-設立要件の確認
NPO法人を設立するためには、さまざまな要件を満たすことが必要です。要件は、大きく分けて「目的要件」と「人的要件」、「その他の要件」に分かれます。
①目的要件
特定非営利活動
不特定多数のものの利益の増進に貢献することを目的とし、NPO法で掲げられる20の活動内容のいずれかに該当する活動 ※20項目のうち、1つでも該当していれば、かまいません)
②人的要件
NPO法人を設立するにあたって、「理事」と「監事」と「社員」が必要になります。ちなみに、会社の従業員にあたる人のことを一般的に「職員」と呼びます。
- 理事は3人以上、監事は1人以上 ⇒ 役員は4人以上必要
- 社員は10人以上必要
③その他の要件
下記のような基準要件があります。
- 営利を目的としないものであること(利益を社員で分配しないこと)
- 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
- 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
- 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
3.NPO法人の設立認証申請
NPO法人を設立するためには、所轄庁から設立の認証を受ける必要があります。まずは、所轄庁へ設立認証申請に必要な書類を確認します。
設立認証申請に必要な書類
提出書類名 | |
1 | 設立認証申請書 |
2 | 定款 |
3 | 役員名簿 |
4 | 各役員の就任承認および誓約書のコピー(原本は保管) |
5 | 各役員の住所又は居所を証する書面 |
6 | 社員のうち10人以上の者の名簿 |
7 | 確認書 |
8 | 設立趣旨書 |
9 | 設立について意思の決定を証する議事録のコピー |
10 | 事業計画書(設立当初の事業年度及び翌事業年度) |
11 | 活動予算書(設立当初の事業年度及び翌事業年度) |
※提出に必要な部数は、所轄庁ごとに異なります。
原則、押印不要へ
行政手続の見直しの一環として、特定非営利活動促進法施行規則の様式において、押印欄を削除する内閣府令改正が行われました。申請・届出書類については、原則として申請・届出者の押印が不要となります。
※各所轄庁の規則等に基づき対応してください。
申請する所轄庁の確認
申請先は、原則、NPO法人の主たる事務所を管轄する都道府県庁となります。ただし、1つの政令指定都市のみに事務所を置く場合には、政令指定都市が所轄庁となります。
また、地域によってNPO法施行事務の一部を、一部の市町に権限移譲している場合があります。その場合は、それぞれの市役所(役場)が窓口となります。
所轄庁によって、申請方法や申請書類等が異なります。都道府県庁や指定都市、権限移譲された市町の行う事務に関しては各市町への確認が必要です。
参考(岐阜県)
岐阜県では、NPO法施行事務の一部を、一部の市町に権限移譲していますので、以下の市町内にのみ事務所を設置する場合は、それぞれの市役所(役場)が窓口となります。
(1) 権限移譲を行っている市町(平成31年4月1日現在)
・岐阜市・大垣市・多治見市・関市・恵那市・土岐市・笠松町・養老町・揖斐川町・大野町・池田町・坂祝町・白川町
(2) 権限移譲を行っている事務
権限移譲を行っている事務は、認定に関する事務以外のNPO法施行事務です。権限移譲がされた場合、それぞれの事務処理はすべて当該市町が行うこととなります。
- NPO法人の設立認証に関する事務
- NPO法人の定款変更に関する事務(認証・届出)
- NPO法人の事業報告書の受付
- NPO法人の役員変更届の受付
- NPO法人の管理・監督
(以上は、移譲している事務の一部です。詳細は市町の担当部署にご確認ください。)
4.申請書の受理から設立認証・設立登記までの手順
続いて、申請書の受理から認証・登記までの流れを把握しましょう。申請書類が所轄庁に受理されたら、ここで一区切りとなります。ここからは、しばらく待ちの期間になります。
- 縦覧期間
- 審査
- 設立認証の決定
- 設立登記をする
- 設立登記完了届の提出
5.縦覧期間
縦覧期間とは、提出された書類のうち、5つの書類を広く市民に公開する期間です。受理日から1ヶ月間は縦覧期間となります。
縦覧書類
- 定款
- 役員名簿
- 設立趣旨書
- 事業計画書(設立当初の事業年度及び翌事業年度)
- 活動予算書(設立当初の事業年度及び翌事業年度)
縦覧期間中の補正
提出書類に不備があるときは、その不備が都道府県または指定都市の条例で定める軽微なものである場合に限り、補正をすることができます。なお、補正したことで、縦覧期間がリセットされることはありません。
令和2年12月2日に「特定非営利活動促進法(NPO法)の一部を改正する法律」が成立しました。
設立の迅速化を目的に縦覧期間の短縮等が図られます。
- 設立認証の申請の必要書類の縦覧期間を、「1月間」から「2週間」に短縮。
- 申請書や添付書類に不備がある場合の補正期間を、「2週間」から「1週間」に短縮。
- 個人情報保護の強化を目的とした、公表・縦覧内容の個人住所の記載除外。
施行日を含め、詳細については今後の情報をご確認ください。改正内容については、内閣府のホームページをご確認ください。
6.審査・決定
認証又は不認証の決定
縦覧期間を経過した日から2カ月以内に審査の上、認証・不認証が決定されます。無事に認証されれば、念願の認証書を手にすることができます。
7.設立登記
NPO法人設立の認証後、主たる事務所の所在地において設立の登記を行うことで法人が成立します。NPO法人設立の登記は、設立認証の通知があった日から2週間以内に行う必要があります。
8.設立登記完了届の提出
NPO法人は、登記が完了したら、遅滞なく、都道府県庁へ登記をしたことを届け出なければなりません。忘れずに提出するようにしましょう。
7.まとめ
NPO法人の基礎知識から設立までを解説してきました。NPO法人として、事業をお考えの方は、NPO法人設立までのスケジュールを考慮した計画策定が重要です。
NPO法人の特性を理解する方が増え、さらに事業が活性化されればうれしいかぎりです。そしてNPO法人の活動の輪が、いたるところに拡がっていくことを心から楽しみにしています!
NPO法人の設立をお考えの方へ、行政書士が申請を代行サポートさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。